事務長が担う仕事
クリニックの事務長の仕事は幅広く、主に次のような領域があります。
- 人事・労務:採用、勤怠・給与の管理、スタッフの相談対応
- 経理・財務:収支の把握、支払いの管理、税理士とのやり取り
- 医事:レセプト請求の管理、診療報酬改定への対応
- 集患・広報:ホームページ、口コミ、SNSの運用
- 院長の補佐:業者との交渉、トラブル対応、院内の仕組みづくり
これらを1人でこなせる人材は多くないため、採用が難しいポジションでもあります。
常勤で雇うと、年間いくらかかるか
求人サイトに掲載されているクリニックの事務長・事務長候補の求人を見ると、年収500万〜700万円前後の募集が中心です。ただ、実際の負担はこれだけではありません。
- 会社が負担する社会保険料(健康保険・厚生年金など):給与の約15〜16%が目安
- 採用にかかる費用:人材紹介会社を使う場合は、年収の一定割合の手数料
- 採用までの時間:求人を出してから入職まで、数か月かかることも珍しくありません
年収600万円で雇う場合、社会保険料を含めた年間の人件費はおよそ690万円になります。仕事が少ない月も、この固定費は変わりません。
外部に委託すると、年間いくらかかるか
事務長の業務を外部に委託するサービスは、各社が公開している料金を見ると、月額10万〜30万円程度(年間120万〜360万円程度)が中心です。月ごとの稼働時間や対応範囲によって料金が決まる形が多く、必要な分だけ使えるのが特徴です。
| 常勤で雇う | 外部に委託する | |
|---|---|---|
| 年間の費用の目安 | 年収500万〜700万円+社会保険料 | 月10万〜30万円程度(時間単位のサービスもあり) |
| 始めるまで | 求人・面接で数か月 | 契約後、数週間で開始できることが多い |
| 仕事が少ない月 | 同じ人件費がかかる | 時間や範囲を減らせる |
| 院内での対応 | 毎日その場で動ける | オンライン中心。現場での即時対応は苦手 |
| 辞めたときのリスク | 業務が止まり、引き継ぎもゼロから | 担当が替わっても契約は続く |
どちらが向いているか
常勤の事務長が向いているクリニック
- 分院展開や医療法人化など、大きなプロジェクトが進んでいる
- スタッフが多く、毎日その場での判断や調整が必要
- 院長に代わって、経営の意思決定まで任せたい
外部委託が向いているクリニック
- 任せたい作業の量が、月によって大きく変わる
- 採用や集患など、特定の分野だけ手が回っていない
- まずは業務を整理して、仕組みを作るところから始めたい
- 常勤の事務長を採用するまでの「つなぎ」がほしい
外部委託で失敗しないための4つのコツ
- 任せる範囲を最初に決める:「何でもお願い」は、結局雑務の代行で終わりがちです。採用、集患など、任せる領域を決めてから依頼しましょう。
- 院内の窓口を1人に絞る:院長か、事務のリーダーなど、やり取りする相手を決めておくと、指示がぶれません。
- 月に1回は振り返る:作業の内容と時間、次の月に優先することを確認する時間を取ります。
- 仕組みを院内に残す:マニュアルや手順書の形で残してもらえば、委託先が替わっても、将来常勤の事務長を採用しても活かせます。
「まず外部、のちに常勤」という選び方
最初から常勤か外部かを決めきる必要はありません。まず外部に委託して業務を整理し、仕事の量や必要な役割が見えてから常勤の採用を考える方法もあります。業務が整理されていれば、採用のときに求める人物像もはっきりし、ミスマッチを防げます。
金額は2026年10月時点で公開されている求人情報や各社の料金をもとにした目安で、地域や医療機関の規模、業務範囲によって異なります。社会保険料の負担率は、加入する保険や年度によって変わります。